2023年1月1日日曜日

 お正月が「冥土の旅の一里塚」(一休禅師)としてリアルに感じる年になった。年を重ねるにつれ、過去が増えて未来が減る。あるコマーシャルで川柳「おばあちゃん なにになりたい 孫がきく」が紹介されていた。なぜこれが川柳になりうるのか。それは「老人には未来がない」ことを前提にするからだ。 だが浄土経を前提にすれば、これは川柳にはならない。まだ私に孫はいないが、「おじいちゃん、将来は何になりたい?と聞かれれば、こう答えてみよう。「そうだな、この世で死んでから、まずは極楽に往生し、阿弥陀様のもとで修行し、それが終われば、この世に戻り、苦しんでいる人々を手助けする人になろう。お前が困っていたら、おじいちゃんが助けに行くぞ。」と。  そう考えれば、正月を迎えるのも悪くはない。浄土は「冥土(暗い場所)」ではなく、阿弥陀仏(無量光仏)の国土だから、光に満ちた場所だ。そこで禅師の短歌を少し浄土教的に改編しておこう。  「正月や 浄土の旅の 一里塚 めでたくもあり うれしくもあり」と。  今年は少し前向きに正月を迎えよう。 (浄土宗新聞1月号より) 合掌