浄念寺は愛媛県宇和島市にある浄土宗の寺院です。 山門横には芝崎観音堂があります。江戸時代、当寺の前は海で芝崎の地と呼ばれていました。その芝崎の地に流れ着いた観音様を大切に供養し、その地名をとって芝崎観音と呼ばれ尊崇されています。 芝崎観音は千手観音菩薩です。御開帳は毎年7月17日で、芝崎観音夏祭りとして賑わっています。堂内には木彫りの33観音様、堂外には石彫の33観音様をおまつりし観音霊場として親しまれています。
2023年3月18日土曜日
春彼岸
春分の日を中日とした7日間である「春彼岸」。「彼岸」と聞くと、お寺やお墓へのお参りを連想される方や、「暑さ寒さも彼岸まで」など季節の変わり目をイメージされる方もいらっしゃるでしょう。
しかし本来の「彼岸」とは、私たちの輪廻(生まれ変わり死に変わり)する迷いの世界「此岸」に対し、その原因となる煩悩を川の流れに喩えて、それを超えた先にある悟りの境地を意味する言葉です。そこから、このさとりの境地を目指すための仏道修行の期間であるとされているのです。また浄土宗では「西方極楽浄土」を喩えた言葉としても用いられます。
法然上人が師と仰ぐ中国唐時代の僧、善導大姉は「お彼岸の中日にあたる春分、秋分の日には太陽が真西に沈むため、そのはるか彼方にある西方極楽浄土に想いを馳せ、往生の願いを新たにするのに適切な日である」と説かれました。このように西の方角へと沈んでいく夕日を観て、その彼方にある西方極楽浄土を思い描くことは「日想観」と呼ばれ、仏教における一つの修行として位置づけられます。浄土宗におけるお彼岸は、西方極楽浄土を想い、そこへ往くための仏道修行であるお念仏をとなえる期間としています。
またお彼岸は、自身の往生を願うだけでなく、極楽浄土にいる亡くなった方々に感謝を伝える期間でもあります。「彼岸」という言葉は元々仏教が由来ですが、仏教発祥の地であるインドや、日本以前に仏教が伝わった中国には行事としてのお彼岸はなく、日本独自のものであるとされています。古くから日本人はお彼岸という期間を大切にして、さまざまな方法で故人に対する感謝の気持ちを表現し、供養してきたのです。感謝を伝える様々な表現がある中でも、亡くなった方のために私たちが念仏をお唱えすることが何よりの感謝の表現、ご供養となります。
お彼岸の時期には、寺院での法要に参加されたり、ご家庭の仏壇やお墓参りをするなかで、亡くなった方々を想って手を合わせ、「南無阿弥陀仏」とお念仏をお唱え下さい。
浄念寺の彼岸法要は、21日の10時から行います。皆様そろってお参りください。合掌