2021年12月20日月曜日

清々しい心で新年を

 木々の葉も落ちはじめ、日に日に寒さが身に染みる季節となりました。夏があんなにも暑かったのに気が付けば年の瀬です。   そんなこの時期に行われる代表的な仏教の行事に「仏名会」「御身拭い式」「除夜会」、新年の「修正会」などがあります。いずれの法会も自身の行いを振り返り、心清らかに新たな年を迎えるための行事です。浄土宗には「愚者の自覚」という考えがあります。法然上人は比叡山で学問や修行に励まれていた時、「智恵第一の法然房」とたとえられるほど優秀でしたが、自らを「愚痴の法然房」と称されました。これは上人が、正面から自分を見つめ、深く内省された結果、吐露された言葉であり、自身の欠点やいたらなさに気付くことが大切であるということを示されています。何かとせわしなく日々を送っている現代の私たちですが、いったん立ち止まり、自身を見つめ直し、過去の行いを振り返るための機会として、お寺の行事法要があります。   引き続き感染予防に配慮しながら、心機一転、清々しい気持ちでご参拝いただき、新たな年をお迎えください。 南無阿弥陀仏

2021年11月4日木曜日

実りの時を迎えるために

 実りの秋を迎えました。  お坊さんが身につけるお袈裟が水田の形に由来しているとされることをご存知でしょうか。これは「田に良い苗を植えて一生懸命育てれば、秋には多くの人々に実りをもたらすことができる。同じように、一生懸命に修行をすれば必ず大きな功徳を得られる」という教えを表しています。このことからお袈裟は「福田衣(ふくでんね)」とも呼ばれています。誰もが出来る、誰もが救われる教えとして、阿弥陀さまはお念仏の行を誓われ、お釈迦さまはその教えをお授けになりました。ですからお念仏をとなえることが苗を育てることであり、それはいつの日か必ずお浄土への往生が叶うという「実り」をもたらしてくれるのです。    ご家族に先立たれて以来、熱心にお寺に通われているお檀家さんがいらっしゃいます。お墓の前にきれいな花をお供えして、手を合わせて一心にお念仏をおとなえされています。その方はいつも「お寺に来ると気持ちがすっきりする。こうしてお参りができるのもお浄土にいる方たちのおかげです。」とおっしゃって、笑顔で帰っていかれます。きっと、先立たれた方がくださった、往生するための苗を、今大切に育てていらっしゃるのだと思います。    私たちは皆それぞれに、先立たれた方やご先祖さまから「良い苗」をいただいています。この苗が大きな実りとなるように、日々お念仏をおとなえいたしましょう。

2021年9月13日月曜日

この世 あの世

 私たちはどのような人生の最期を迎えたいのでしょうか。患いなくぽっくり死ねたら良い。苦しんで死ぬのは嫌だ。こう考える方が多いことでしょう。しかし、私たちは自分の死に方を決めることは出来ないのです。ただ、できれば心安らかに臨終を迎えたい。「ああ、いい人生だった」と思って臨終を迎える事が出来れば、とても素晴らしいことです。しかしその反面、死について真剣に考えることは少ないのではないかと思います。誰だって死ぬのは嫌なものです・やり残したことがあったり、家族や友人と別れなければならない。今まで築いてきた財産や物を置いていかなければならない。そんなことをあれこれ考えながら生きるのは大変つらいことです。ですから、死ということから目をそむけようとします。死は必ず来ると分かっていながら、そのことを考えようとはしません。「いつまでも死ぬる気のない顔ばかり」私達は、今日明日で死ぬ命ではないと思って生きています。でも、誰しもがいつか命終わるときが来るのです。  「阿弥陀経」の中に「これより西方十万億土を過ぎた世界に極楽浄土があり、そこに阿弥陀仏がおられます。人々が一心不乱にお念仏を称えて、命終わる時、阿弥陀仏の導きにより極楽浄土へと往生することができる。」と説かれています。私たちはお念仏一つで極楽浄土に生まれることができるのです。  コロナ禍という先の見えない中で、不安な日々を送っておられる方も多いと思います。しかし、どうか不安に飲み込まれないでください。今よりもはるかに命の危機にさいなまれていた戦乱の時代に、法然上人はこのようなお言葉を残してくださいました。     ~ 生けらば念仏の功積り 死なば浄土へ参りなん とてもかくてもこの身には 思い煩うことぞなき ~  つまり、「生きている間はお念仏を称える中に、求めずとも阿弥陀様が見守って下さる。たとえ命が尽きたとしても、お浄土に参らせていただくことができる。」とお説き下さったのです。   どうぞこのお言葉を信じ、阿弥陀様を心の拠り所としていただき、お念仏を心の支えとしてお過ごしください。  合掌

2021年8月12日木曜日

お盆とお施餓鬼

 7月から8月にかけ、全国的に行われる「お盆」。浄念寺ではすでに棚経参りが始まっています。  お盆はご先祖様をお浄土からお迎えし、ご先祖様と一緒に過ごすことができる大切な時間です。まごころをこめてご供養しましょう。   またこの時期にお盆と並び行われるのがお施餓鬼会。仏教には「あらゆる存在は行いによって6種の世界に生まれ変わりを繰り返す(輪廻)」という考えがあります。餓鬼の世界はその一つ。常に飢えと渇きに苦しむ世界とされます。お念仏の教えに出会い、念仏業を実践したご先祖様は間違いなく阿弥陀様のお導きによって極楽浄土に往生されています。その一方で、お念仏に出会えなかったものは餓鬼の世界に生まれ変わっているかもしれません。浄土宗のお施餓鬼は、そのような方々とお念仏との縁を繋ぎ、極楽浄土に往生してもらうため、そして餓鬼を供養して得られる功徳を、極楽浄土にいるご先祖様や大切な方に振り向けるためといえます。  また、私達がお施餓鬼を勤めることは、「布施の修行」ともいえます。布施とは、人のため、自分に出来る行為、あるいは物などを施す行為の事で、言い換えれば、他を生かし(利他)、自らを育む(自利)思いやりの気持ちを育むことです。   浄念寺の施餓鬼法要は、17日の午後5時と7時より行います。お舟流しもいたします。御先祖様への供養の思い、そして布施の意味を心にかけつつ、お念仏をお唱えいたしましょう。

2021年7月4日日曜日

芝崎千手観音様御開帳

 昔々、今から六百年以上も前のこと、室町時代に芝崎の地に千手観音様が流れ着かれました。当時芝崎の前は海で、お城山は海の中の小島でした。現在の宇和島からは想像もできません。   古来より尊きお方は海より訪れるという言い伝えがありますが、小舟にはむしろがかかっておりました。金色の光がむしろの網目の間から燦然と漏れ出ておりました。大勢の人々が集まり、その中の一人が勇気をもって覗いてみると、千手観音様ではありませんか。 皆はこの地に来ていただいた観音様のために力を合わせ、芝崎の地、現在の浄念寺山にお堂を建て大切にお祀りいたしました。さらに浄念寺山には西国三十三観音巡拝霊場が作られました。現在は観音様を境内に集め、どなたでも簡単にお参りすることが出来ます。 その後、宇和島湾の埋め立てや、近年では昭和五年からの須賀川の付け替え工事などで地形が代わり、現在の境内地に移されました。 第二次世界大戦での朝日町大空襲の時、お堂は焼夷弾にて被災しましたが、千手観音様はご無事でした。戦後現在の場所に再建され、変わらぬ輝きを放っておられます。  今年はコロナ退散を祈願しまして、7月17日(土)午後1時から7時まで御開帳致します。ぜひご参詣されますようご案内致します。

2021年6月3日木曜日

お釈迦様の八正道

 今年は入梅が3週間も早かったので、雨にもすっかり慣れてきました。乾燥機のなかった昔は洗濯物が乾かず家中にハンガーがぶら下がっていたりしたものです。  世界は今、分厚い雲で覆われて晴れ間の見えない状態で、ちょうど梅雨時のように気持ちが憂鬱になってきます。 雨の日に飛行機に乗ったことがありますか?雲の上は嘘のようにいつも通り太陽が照り、青空が広がっています。 私たちの心は天気と同じで、いつも晴れているわけではありません。雨が降ったり曇ったり。この世界も永久に晴れることのないような問題が山積みですが、今は雲に覆われていても梅雨が明けるように、明るい日常が必ず戻ってくるでしょう。  正見・正視・正語・正業・正命・正精進・正念・正定    お釈迦様の八正道を忘れずに南無阿弥陀仏   合掌

2021年4月29日木曜日

『公式チャンネル浄土宗』のご案内

 浄土宗宗祖・法然上人の遺徳を偲んで勤められる御忌。4月の陽光の中、総本山知恩院をはじめ、増上寺、金戒光明寺、百万遍知恩寺、清浄華院、善光寺大本願の各大本山では、1日から数日の日程で法要が営まれました。  もとは、上人のご日である1月25日に勤められていましたが、明治期に知恩院が4月に執り行ったのを契機に、5つの大本山でも4月に修するようになりました。  今年の御忌は、昨年から昨年から続く新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、6つの本山では、参列者数に制限を設けたほか、ホームページで法要の様子を配信するなどの対策をして執り行われました。  YouTube『公式チャンネル浄土宗』では、総大本山の行事・法要や、毎月25日に更新の布教師による法話動画「浄土宗の法話」などがご覧になれます。 浄土宗公式ホームページ(https://jodo.or.jp/)、または、「公式チャンネル浄土宗」で検索をされてください。

2021年4月25日日曜日

ありがとう ごめんなさい 教えてください 助けてください 守ってください これらすべてが南無阿弥陀仏には含まれる 心から南無阿弥陀仏 阿弥陀様 よろしくお願いします  合掌

2021年3月5日金曜日

春彼岸

 観音堂の緋桜の蕾が膨らみはじめました。もうすぐ春のお彼岸。  春分の日を中日とした前後3日間の計1週間には多くの方がお寺参りをされ、墓地はきれいに清められます。 「彼岸」とは、私達の生きる世界「此岸」に対して悩みや苦しみのない悟りの世界の事です。浄土宗では極楽浄土を意味します。春秋のお彼岸は極楽浄土に思いを巡らせ、多くの寺院で法要が行われます。  浄念寺では中日3月20日10時から春彼岸のお勤めをいたします。ご一緒に御念仏に努めましょう。ご自由にご参加ください。

2021年2月16日火曜日

涅槃会

2月15日は仏教を開かれたお釈迦様の御入滅の日。今年も緊急事態宣言の折りから、本堂にて涅槃図を静かにお祀りしています。 お釈迦様はご入滅の直前「この世のことはすべてうつろい、永遠なるものは1つもない。怠ることなく精進せよ」とのお言葉を残されました。 新型コロナ禍で私たちの暮らしは大きく変わってしまい戸惑うばかりですが、「怠る事なく精進せよ」の遺訓は具体的には八正道の実践にほかなりません。 「正見、正思、正語、正業、正命、正精進、正念、正定」難しそうで単純な内容です。日常を修行の場と捉えて、新たな視点や気付きを得て、お念仏と一緒に不安な日々を乗り越えていきましょう。 南無阿弥陀仏

2021年1月1日金曜日

「誓い新たに始めよう」

  令和3年明けましておめでとうございます。令和2年は新型コロナ禍のおかげで、一度しか無い自分の人生を深く考えた方も多かったことと思います。お念仏を忘れず、心まで疎遠になってしまわないよう明るく正しく仲良く、この苦難を乗り越えていきましょう。

 令和2年4月13日、知恩院国宝御影堂修復落慶法要がしめやかに行われました。全国からの団体参拝や記念の諸行事が中止や延期になり、残念でたまりません。参詣できる日を修復中5年ものあいだ心待ちにしていた方々も多かったことと思います。御本山参り、御先祖の墓参り里帰りが安心して出来る日に一日も早く戻れますよう念じつつ、御念仏に励みましょう。合掌

 元朝10時より修正会、位牌堂供養をいたします。